ハイランドより追われ都市同盟領に逃れた僕とジョウイは、トトの村の祠に封印されていた紋章を宿し、そして戦うことを決心した。

僕らが安全な地に辿り着き、いままでのような慎ましやかでいい、普通の生活が送れるように。
そんなささやかな望みを叶えるために、紋章の力を欲した。
今思えばいろいろな意味において子どもだったのだ。ささやかな望み、それすら叶えられない非力な子どもだった。あの時世、大人であったとしても安心して暮らすということは難しかったに違いない、けれども短時間の間に目の前に何度も何度も死を突き付けられ。それを自力で振り払うことがいかに困難であるかをまざまざと見せつけられた僕らにとって、強い力を手に入れることにほとんどためらいはなかった。

生きて。

そして。

大切な人を守るために。




僕は同盟軍のリーダーに、ジョウイはハイランドの王となり、戦った。
大切な人を守る。その願いは同じだったのに。
僕らは、もう僕らのためだけに生きることを許されなかった。
それは、様々な人たちの力を得れば得るほどに。僕らだけではない、あの時ともに戦った人たち全員がそうだったろう。
大きな一つの目的のために、何かを犠牲にして立ち向かわなければ勝てなかった。後ろを振り返る余裕は誰にもなく、ただひたすらに前を向いて突き進んだ。
憎しみを、悲しみを力に変え、泣きたくなるような温かさに支えられ、時に喜びに勇気づけられながら。
苦しい戦いの果てに同盟軍は勝利を得。

都市同盟領とハイランド王国に分かれていた北の大地に、デュナン統一国家が生まれた。




そして僕は。




ジョウイとナナミとともに、旅立った。












それから8年後の話。