「ユウリ。僕が眠りっぱなしになって、何年も何年も目が覚めなくて。
そうしたら目覚めのキスをくれるかい?」

「うん、いいよ」

何を思ったのか、トランの英雄は突然そんなことを呟いて。
それを受けたデュナンの王は、あっさりと了承の意を告げた。








「僕が生きているうちに試せる、ありとあらゆる術を全部試したあとならね。
もしくは何の方法も試さずにサヨナラのキスをして即地中行きか。
どっちがいい?」








 幸い時間ならあるようだから、とことん付き合ってはあげられるよ。
 そう、ユウリは爽やかに笑う。








「いま耳にした一連の言葉の中で、
一体どこに愛を見出したらいいのだろうね」








 肩を竦めてラウが返すと。








「それは残念。伝わらなかったのかな」








 ニコリと笑って。
 けれど、ちょっと視線がはずれたと思うと。
 今度はからかうようなそれではなく、優しい笑みを浮かべた。








「僕がキスを送らなくてもいいように、眠りっぱなしになんてならないでね」








 本当はヒドイことを言われているのかもしれないけれど。








 愛に溢れた、言葉を聞いた気がした。

e n d