熱い砂をじりと踏みしめ考える。
 フードの下には疲労の色濃い顔が隠れていた。
 太陽の熱から守るためにすっぽりとフードを被っているものの、奇声と共に全部脱ぎ捨ててしまいたくなることもそう少なくはない。
 熱い。
 暑い、を通り越している。吐く息も熱くてうんざりとさせられる。
 ある時は灼熱の地を、ある時は極寒の地を。
 こんな日常もうゴメンだ、と何度思ったことだろう。そんな数など覚えていやしない。

 いつのまにか300年。

 真の紋章の持ち主に出会ったのも1度や2度じゃない。でも300年生きても27人(27個の紋章にそれぞれ1人の持ち主がいていいはずだ・・・たぶん)全員には会っていない。そして1度出会った人物とも2度会うことは稀である。
 それだけ世界は広いというのだろうか。

 広い広い世界で、長い長い生を受け。時に短い安息を得て、また歩き出す。この繰り返し。
 いつかこの道の先に何かが見出せるのではないかと漠然とした淡い期待を捨てきれないままに。

 顔を上げ、ぐるり360度を見渡す。見える範囲に建物や緑といったものは見当たらない。
 何度目かの熱い息を吐く。
 ひとまずは。渇きの癒せるオアシスを探さなくては。まだ皮袋に水は残っているが、それでも安全には安全を重ねたいところだ。
 止めたいと思いながらも止めなかった足に自ら賞賛の言葉をかけながら、先ほどよりも心持ち目線を上げる。それでもフードの影は死守しながら。
 少しでも快適でいたいと思うのは当然だろう?

 熱い砂をじりと踏みしめ再び考える。
 いつ終わるとも知れない砂の道。
 きっとずっとこれからもそうなのだ。喉が焼けそうな渇きを感じながら、止まらず、つかの間の休息に癒されて。
 そして次なる安息の地を探し求めて歩くのだ。
e n d

書きあがってみたら、「平凡じゃない」日常でした。
そしてどこか前向きなテッド。「もう知るかぁ!やめたやめたっ」とか言って寝転んでも、数分後には立ち上がってもくもくと歩きだすと良いな。